第120回 日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会

プログラム

No

タイトル

香川大学医学部附属病院は病院再開発に伴い外来診療棟も一新することとなり、「より患者さんに優しい病院へ」をテーマの一つに再開発を行った。その際、病院全体で検査機器の更新も行われ、われわれは新型耳鼻咽喉内視鏡を導入することになった。

新型耳鼻咽喉内視鏡は、操作部が人間工学の観点から見直されたエルゴノミックデザインになっており、通称「ピストルグリップ」と呼ばれた新形状となっている。永らく従来の内視鏡操作に慣れてしまっているので使用当初は少し戸惑ったが、操作重量部の大幅な減量と相まって直ぐにその使いやすさを実感し、今では当科では腫瘍患者の診療のみならず他分野でも耳鼻咽喉内視鏡検査の新スタンダードになっている。

近年はどの分野においても早期発見、早期治療がより重視されるようになり、頭頸部癌領域においても経口的手術といった低侵襲治療が行われるようになってきた。早期発見に関しては、特に観察が難しい下咽頭領域において、酒井、大上らによって報告された modified Killian法が非常に有用であることが知られている。しかしながら、従来の内視鏡で modified Killian法を行うと、操作部を立てた状態で観察することになり、術者も無理な体勢で検査を行うことになり、結果的に患者にもより苦痛を与えることがある。しかし新型耳鼻咽喉ビデオスコープでは操作部が患者に対してまっすぐ挿入されるため非常にスムーズに内視鏡検査が実施でき、リモートスイッチも片手操作に適しており、新型耳鼻咽喉ビデオスコープは術者・患者両者にとって「優しい」内視鏡であるといえよう。また光学系の観察精度の向上に伴い、イメージクオリティが格段と良くなり、経口的手術においても非常に有用であると感じている。

今回のセミナーでは、クリニックに多く普及しているファイバースコープと新型耳鼻咽喉ビデオスコープの画質の比較や新処置用ビデオスコープの操作性の比較について、特に新型耳鼻咽喉ビデオスコープを用いた頭頸部癌診断のポイントについて紹介させていただき、今後頭頸部領域におけるビデオスコープ開発に期待していることについても述べたいと思う。

森照茂
学 歴
平成14年 3月 香川医科大学医学部卒業
平成14年 5月 医師免許取得
平成21年 3月 医学博士
平成23年 9月 日本耳鼻咽喉科学会専門医
平成25年 10月 日本気管食道科学会専門医(咽喉系)
平成27年 1月 日本耳鼻咽喉科学会指導医
平成27年 10月 日本頭頸部外科学会頭頸部がん専門医
職 歴
平成14年 4月 香川医科大学医学部附属病院耳鼻咽喉科入局
平成14年 5月 香川医科大学医学部附属病院耳鼻咽喉科医員
平成15年 5月 坂出市立病院耳鼻咽喉科研修医
平成16年 4月 香川大学医学部附属病院耳鼻咽喉科医員
平成16年 5月 大阪赤十字病院耳鼻咽喉科・気管食道科医員
平成21年 4月 香川大学医学部附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科医員助教
平成22年 4月 NTT西日本大阪病院耳鼻咽喉科医員
平成24年 4月 香川大学自然生命科学系助教
現在に至る。

2019/05/10 12:30〜13:20 第5会場