耳鼻咽喉科診療には多くの器具が用いられる。これらの感染対策は日常診療において重要な課題である。耳鏡、鼻鏡、舌圧子などの鋼製器具に始まり、近年では多くの光学機器(内視鏡)が用いられる。耳鏡などの鋼製器具は通常使用後に洗浄、滅菌され再使用される。ある程度の器具数を準備する必要がある。内視鏡も洗浄・消毒が必要であるが、鼻鏡などの鋼製器具と異なりその数は限られている。そのため効率よく適正に洗浄・消毒されることが求められる。外来で行われる治療の1つにエアロゾル療法、ネブライザーがある。ネブライザーのマウスピース、ノーズピース、外部ホースは患者ごとの交換が求められる。
院内感染とは医療機関において患者が原疾患とは別に新たに罹患した感染症、または医療従事者が医療機関内において感染した感染症である。人から人、医療従事者、医療器材、環境を介して感染する。病院のみならず、一般の診療所でも起こり得る。過去にポリツェル球や点耳用スポイト、耳管カテーテルが感染源となり中耳結核が集団発生した事例がある。院内感染対策には予防策として個人防護具(手袋、マスク、ガウンなど)の使用、手指衛生、職業感染防止(リキャップ原則禁止)、環境整備、医療器材の洗浄・消毒・滅菌などがある。 AMR( Antimicrobial Resistance)は抗微生物薬に対する薬剤耐性で、 AMR拡大の背景には抗微生物薬の不適切な使用、院内感染対策の不備などが挙げられる。2016年、国は薬剤耐性( AMR)アクションプランを発表し、抗微生物薬については「適正な薬剤」を「必要な場合に限り」「適正な量と期間」使用することの徹底を訴えている。このパネルディスカッションでは4人のパネリストに内視鏡、診療器材、ネブライザー機器の感染対策、 AMR対策について話していただく。
2019/05/09 16:00〜17:30 第8会場