進行食道癌において胸壁前経路による再建手術が必要となる場合がある。その際鎖骨の上を乗り越える形で再建した空腸が位置するため、通過経路が屈曲する。そのため術後の通過障害がしばしば問題となる。舌喉頭全摘・食道亜全摘・胸壁前再建を施行した際、舌全摘例では嚥下圧が失われ経口摂取困難が避けられないことが予想される。術中鎖骨合併切除を行うことで術後通過障害が回避できた一例を経験したため報告する。症例は67歳、男性。口腔内疼痛を主訴に当科紹介受診精査にて舌癌 cT3N2cM0 cStag IVA、胸部食道癌 cT2N1M0、 cStage IIと診断、導入化学療法後に手術を施行した。初回手術で舌喉頭全摘・両側頸部郭清・左胸鎖骨合併切除・遊離前外側大腿皮弁再建、食道亜全摘・食道皮膚瘻造設を行った。術後39日目に二期手術として残胃全摘・胸壁前有茎空腸再建を施行し、57日目より経口摂取を開始、著明な通過障害なく経過している。この症例と同様の症例で鎖骨を残存したまま術後に通過障害を来した症例と対比しつつ若干の文献的考察を加えて報告する。
2019/05/11 13:50〜14:50 ポスター会場