第120回 日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会

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今回、われわれは神経節細胞腫の手術症例を経験した。症例は16歳女性。検診の胸部X線にて異常を指摘され当院呼吸器外科に受診となった。画像にて右肺尖部から下頸部にかけて造影効果に乏しい境界明瞭な腫瘤を認めた。胸腔鏡下に生検を施行し、神経節細胞腫と診断された。経過観察中に右手にしびれ感を生じるようになり、手術予定となった。胸部からのみの切除は困難と判断され、頸部からのアプローチ併用依頼にて当科紹介となった。後日、全身麻酔下に頸部弧状切開と、胸腔鏡併用手術を行い、腫瘍を切除した。腫瘍は腕神経を圧排しており、術後に一過性のしびれ感増悪を認めたが軽快した。神経節細胞腫は交感神経系腫瘍に属す良性腫瘍で、縦隔や後腹膜に好発するが、まれに頸部にも発生するとされる。上縦隔や肺尖部にかかるような頸部腫瘍には、頸部弧状切開に加えて縦切開を行うこともあるが、今回は若い女性、良性腫瘍ということもあり、創を最小限に抑えるべく前述の術式を選択した。神経節細胞腫と術式について文献的考察を加えて報告する。

2019/05/11 13:50〜14:50 ポスター会場