抗 PD-1抗体はプラチナ抵抗性の頭頸部癌の再発もしくは遠隔転移に対する治療手段として期待されている。しかし現時点では、初期治療としての保険適応は認められていない。今回、肺癌を併発していたため、初期治療としてペムブロリズマブを使用した上顎癌症例を経験したので報告する。症例は59歳男性で、左上葉の非小細胞肺癌( cT4N0M1b ADR)と右上顎癌( cT4aN0M0)の重複癌症例であった。呼吸器科との協議の結果、肺癌に対する治療を先行させる方針となり化学放射線療法が計画された。しかし、治療開始直前の CT検査で副腎への転移が確認されたために、化学放射線療法は中止されペムブロリズマブ単剤による治療が選択された。治療開始から4カ月の時点では、肺病変は SD、副腎病変は PR、上顎病変は PRである。本症例のその後の経過に加えて、当科の頭頸部癌に対する免疫チェックポイント阻害剤治療の現状について報告したい。
2019/05/11 13:50〜14:50 ポスター会場