副鼻腔は個人差のある複雑な構造で、眼窩・頭蓋に隣接している。安全かつ効率的な内視鏡下副鼻腔手術を行うためには、前篩骨動脈をはじめ副鼻腔の構造の理解が非常に重要である。手術の熟練者は、副鼻腔 CTを3方向で読影し副鼻腔の 3D像を頭の中で構築しながら手術に望むことができるが、初学者には難しい技術である。読影が不十分な場合、前篩骨動脈の損傷による眼窩合併症を招く可能性や、合併症を恐れ動脈周囲に近づかないことで手術操作が不十分に終わる可能性がある。
そこでわれわれは副鼻腔の構造を初学者でも理解ができるように、 VR( Virtual Reality)アプリを用いて副鼻腔 CTから副鼻腔の形状をポリゴン化し、 VR空間で閲覧するシステムを構築した。特に VR空間内を歩き回りながら、副鼻腔をみることで、 2D像である平面モニターでは得られない、実際の形や大きさ、位置関係が理解でき、空中に副鼻腔が浮いているような体感が得られた。 VR空間を用いた学生教育を導入したので、学生の意見をふまえて報告する。
2019/05/11 13:50〜14:50 ポスター会場