第120回 日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会

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今回われわれは回転性めまいを主訴に来院し、検査の結果、 HIVの初発症状であったことを経験したので報告する。症例は17歳男性。回転性めまいを主訴に当科へ紹介された。明らかな眼振や蝸牛症状はなかったが、口蓋扁桃炎が併発していた。発熱や頭痛があったため中枢性疾患も疑い、画像検査および髄液検査を行ったが特に異常所見はなかった。しかしめまい症状が強かったため入院加療となった。入院時に施行した血液検査で梅毒が陽性であったため、追加で HIVの検査を行ったところ、陽性であった。ペニシリンGの点滴で浮動性めまい、扁桃炎は数日で改善したが、体幹〜四肢にかけての発疹、口蓋垂からの点状出血、白血球数の減少といった HIV感染に伴う症状が出現したため、専門機関での精査加療が必要と判断し転院となった。近年本邦における HIV、梅毒患者数は増加傾向にある。本症例のようにありふれた主訴で来院し HIVや梅毒が発覚する場合もあるため、われわれ耳鼻咽喉科医は今まで以上に感染症を念頭に入れて診療にあたらなければならない。

2019/05/11 13:50〜14:50 ポスター会場