放線菌症( Actinomycosis)は口腔内に多数生息する嫌気性細菌の常在菌である Actinomyces israeliiによっておこる慢性化膿性ないし肉芽種性細菌感染症である。根治には抗菌薬の長期投与が必要であり、難治性となることが多い。今回、われわれは短期間に反復する扁桃周囲膿瘍に対して、保存的治療による消炎後、口蓋扁桃摘出術を施行した放線菌感染の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。症例は19歳男性。咽頭痛、発熱、開口障害を生じ、当科初診。右扁桃周囲膿瘍の診断で膿瘍切開術および CTRX、 CLDMによる治療で症状は寛解したが、初回治療から3週後、7週後に扁桃周囲膿瘍が再燃し、培養検査で放線菌を検出した。抗菌薬を PCGに変更し、その後は症状再燃なく経過した。初回治療より18週後に口蓋扁桃摘出術を施行、術後も抗菌薬内服を継続し感染兆候なく経過している。
2019/05/11 13:50〜14:50 ポスター会場