第120回 日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会

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放線菌は口腔内に常在する嫌気性・非抗酸性のグラム陽性桿菌である。口腔内の化膿性炎症や抜歯から感染することが多いため、頭頸部領域では顎下部や上顎洞の放線菌症例の報告が多い。今回われわれはローゼンミューラー窩に発生した放線菌症例を経験したので報告する。症例は65歳男性。咽頭痛を主訴に近医耳鼻咽喉科を受診。上咽頭に白苔病変があり、抗菌薬にて加療するも改善がないため、精査加療目的に当科を紹介受診となった。当科初診時は左上咽頭に白苔を伴う不整粘膜病変あり。同部位の組織生検では異型細胞はなく、菌体不明の細菌感染がみられた。精査の CT、 MRIでは左上咽頭に一部石灰化を伴う被包化された病変がみられた。 FDG-PETでは同部位に高集積がみられた。診断加療目的に全身麻酔下手術を行った。左ローゼンミューラー窩内には充満する菌塊がみられ、術後の病理検査で菌からは放線菌が確認された。われわれが渉猟し得た限りでは国内外にローゼンミューラー窩に発生した放線菌症例の報告は確認できなかった。本症例について、詳細に報告する。

2019/05/11 13:50〜14:50 ポスター会場