深頸部膿瘍は、喉頭浮腫および上気道閉塞を引き起こす可能性のある重要な病態である。その原因菌の多くはA群溶連菌である。今回われわれは、G群溶連菌が原因となった副咽頭間隙膿瘍の一例を経験したので、報告する。症例は56歳女性。咽頭痛を主訴に近医受診したが、A群溶連菌迅速検査は陰性だった。症状の増悪を認めたため、2日後に当院を受診した。受診時、気道狭窄を呈しており、局所麻酔下で緊急気管切開を行った。その後の頸部造影 CTで、副咽頭間隙膿瘍の診断に至ったため、全身麻酔下で佐藤式喉頭鏡を用いて喉頭展開を行い、膿瘍の切開排膿を行った。排膿液の一般細菌培養の結果、G群溶連菌が検出され、今回の原因菌と考えられた。術後の経過は順調であった。本症例のように、A群溶連菌迅速検査が陰性であったとしてもG群溶連菌により扁桃炎から重篤な病態へ進行する可能性があるため、注意が必要である。また、佐藤式喉頭鏡は口腔内から十分な術野が確保でき、副咽頭間隙膿瘍を経口腔的に排膿する際に有用であった。
2019/05/11 13:50〜14:50 ポスター会場