耳鼻咽喉科領域の膿瘍は、頭蓋底、眼窩、縦隔に波及することがあり、重篤な経過をたどり得る。抗菌薬の普及とともに膿瘍症例は減少したが、厳重な対処を要する病態である。治療の原則は細菌検査に基づく抗菌薬投与と外科的排膿であるが、耳鼻咽喉科領域は整容面での注意も求められる。そこで当院では太径( 14-18G)の血管留置針を用いた排膿ドレナージを施行しており、本手技について紹介する。まず膿瘍の位置を造影 CTや超音波で同定し、エコー下に血管留置と同様の手技で内筒ごと穿刺吸引を行い、膿瘍の存在を確認する。次いで内筒を抜去し、外筒をシリンジまたは延長チューブに接続し、吸引を行った後、そのまま外筒を固定留置する。穿刺液は細菌培養に提出する。全例入院加療とし、排膿が見られなくなった時点で抜去とする。本方法では、エコー下に行うことで血管など重要構造物を避けつつ、穿刺・吸引可能であり、正確かつ安全に操作できる。また太径の留置針を使用することで十分な排膿効果が得られ、かつ抜去後の創はほとんど目立たなかった。
2019/05/11 13:50〜14:50 ポスター会場