【はじめに】肺炎球菌は生後早期に乳幼児の鼻咽腔に定着し保菌状態となり、周囲に伝播する。家庭内における受動喫煙は小児急性中耳炎発症の危険因子となることが指摘されているが、鼻咽腔保菌や伝播に及ぼす影響や機序は不明な点が多い。われわれは、仔マウスを用いた受動喫煙モデルを確立し、鼻咽腔保菌や炎症反応に及ぼす喫煙の影響について検討した。【方法】 C57BL/6Jの仔マウスに、日齢4〜7までタバコ煙抽出液を連日経鼻接種した後、日齢8に肺炎球菌を経鼻接種し、日齢12まで哺育した。評価項目は、鼻汁中排菌量(日齢9〜12)、鼻咽腔保菌量(日齢12)、鼻咽腔好中球数(日齢10)とした。【結果】喫煙群において、鼻汁中排菌量、鼻咽腔保菌量、好中球数いずれも有意な増加を認めた。【考察】タバコ煙暴露は鼻咽腔への炎症誘導、鼻咽腔保菌量、鼻汁中排菌量を有意に増加させた。家庭内の受動喫煙が上気道における肺炎球菌保菌量を増加させると共に、宿主間伝播を促進する重要な因子である鼻汁中への排菌や炎症反応を促進すると考えられる。
2019/05/11 13:50〜14:50 ポスター会場