緒言 :われわれは兄弟仔マウスを用いた肺炎球菌の宿主間伝播モデルを確立し、保菌者の鼻腔における強い炎症誘導と鼻汁中への排菌量の増加が伝播を促進する重要な因子であることを報告した。一方で、新たに菌を受け取る「 recipient」側の因子については検討されていない。方法 :日齢4の乳仔マウス群( C57BL/6J)の半数に肺炎球菌(血清型 4あるいは 6A)を経鼻接種し(感染群)、未感染マウス(接触群)と同一ケージにて8日間哺育した。検討項目は1)日齢8から12における個々の接触群の鼻孔の肺炎球菌数の経時的変化、2)日齢12の鼻腔肺炎球菌保菌数、3)日齢12の鼻腔好中球数とした。結果 :本モデルにおいて、接触群の鼻孔には一時的に肺炎球菌が検出されることがあったにもかかわらず、鼻腔定着に至ったものはみられなかった。接触群の鼻腔中好中球数は、感染群と共に哺育を行わなかった同日齢の仔マウスと比較して有意に増加していた。考察 :肺炎球菌の伝播予防には recipient側の免疫応答による、鼻腔に侵入した肺炎球菌の排除が重要であると考えられた。
2019/05/09 17:40〜18:46 ポスター会場