【はじめに】黄色肉芽腫は皮膚軟部組織や眼窩に発生する良性の腫瘍性疾患である。皮膚や眼窩以外にも、骨や胆嚢、腎臓等後腹膜に発生するとの報告があるが、皮膚を除いては頭頸部領域ではまれな疾患である。【症例1】25歳女性。1カ月前から右耳下部の圧痛を伴う硬い腫瘤を認め、症状の増悪と開口障害も出現した。画像検査では右耳下腺後方に境界が不明瞭な腫瘍を認め、 PET検査で腫瘍の集積があり、耳下腺癌疑いと診断し、手術で摘出した。病理検査で黄色肉芽腫の診断であった。【症例2】50歳男性。半年前に左耳下部の疼痛、腫脹があり、症状の増悪と左顔面のしびれが出現した。左耳下部に可動性不良な腫瘤を触知し、画像検査で耳下腺深葉に境界不明瞭な腫瘍を認めた。 PET検査で腫瘍に集積があり、耳下腺癌の疑いで手術を行い、病理検査で黄色肉芽腫を伴った低悪性度の粘表皮癌の診断であった。【考察】黄色肉芽腫と悪性腫瘍の術前の鑑別は難しく、過大手術になるとの報告もある。診察、術中の迅速を検討し、症例に合わせた治療が必要となる。
2019/05/09 17:40〜18:46 ポスター会場