症例は53歳女性。口蓋扁桃Ⅱ度肥大、アレルギー性鼻炎を合併する睡眠時無呼吸症候群( PSGにて AHI 62.8)に対し、201X年11月鼻中隔矯正術、下鼻甲介粘膜下骨切除術、口蓋扁桃摘出術、軟口蓋外方牽引術施行した。32歳時下垂体腺腫摘出術を受け、術後尿崩症に対してデスモプレシン点鼻継続の既往があった。周術期は点鼻困難のため内服薬に切り替えたが、術後第2病日に一側鼻腔タンポン抜去し、点鼻再開した。術後第3病日、意識混濁を認め、気管内挿管し人工換気開始した。水中毒の診断にて輸液およびピトレッシン皮下注により回復した。退院後、内服薬への変更を勧めるも難渋し、結局回数を厳しく制限して点鼻薬継続とした。術後 AHIは改善、 CPAP療法から離脱しえた。(結論)記憶力集中力の短期的強化作用の知られるデスモプレシン点鼻薬の常用患者に対しては、薬剤の経鼻粘膜吸収動態が劇的に変化し得る鼻閉改善手術は、水中毒発症の危険があり禁忌と考える。手術利得が合併症の危険を上回る場合には、術前に点鼻薬から内服薬に変更可能なことが必須と考える。
2019/05/09 17:40〜18:46 ポスター会場