第120回 日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会

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タイトル

中耳腔まで進展する副鼻腔髄外性形質細胞腫から多発性骨髄腫(以下、 MM)の診断に至った一例を経験したので報告する。症例は80歳女性。右滲出性中耳炎に対して近医にて内服加療を受けていた。改善ないために鼓膜切開を施行したところ、中耳腔に腫瘤を認めたため当院へ紹介となった。来院時、右 40dBの伝音性難聴を認め、右鼓膜前下象限に白色の腫瘤を透見した。聴器 CT検査で骨破壊を伴い中耳腔まで進展する蝶形骨洞腫瘍を認めた。多発する腰椎圧迫骨折の既往もあったため、多発性骨髄腫を疑い血液内科へ依頼するとともに確定診断のため生検を施行した。病理結果では形質細胞腫の疑いであった。下顎骨・頭蓋骨に punched out lesionも認め、骨髄穿刺や血液・尿検査から MMと診断した。放射線・化学療法により腫瘍の縮小を認めた。一般的に副鼻腔髄外性形質細胞腫はまれな疾患である。 MMへ移行すると予後不良となるため、早期の診断が重要である。本例では中耳腫瘤を契機として発見されたが、適切な問診が早期診断・治療に繋がったと考えられた。

2019/05/09 17:40〜18:46 ポスター会場