ビスホスホネート製剤( Bisphosphonate製剤、以下 BP製剤)は、骨粗鬆症や癌の骨転移、変形性骨炎に対して、骨折の予防や高カルシウム血症の抑制、骨の痛みを軽減する目的で広く使用されている薬剤である。頭頸部領域の副作用としては、顎骨壊死や顎骨骨髄炎が知られているが、近年、外耳道骨壊死が報告されるようになり、2016年5月に厚生労働省より重大な副作用として添付文書に追記された。当科においても、外耳道真珠腫として診療を行っていた症例において、保存的治療を行っているにもかかわらず外耳道の上皮化が得られないため薬剤投与歴を聴取したところ、 BP製剤の長期服用が確認された例を認めた。今後、日本の高齢化はさらに進行すると言われ、 BP製剤を服用する患者数も増加すると思われる。また、 BP製剤は世代を増すごとにより強力な骨吸収抑制作用を持つようになっていることから、 BP製剤長期服用による外耳道骨壊死の患者も増加することが予測され、注意が必要である。
2019/05/09 17:40〜18:46 ポスター会場