当科では、誤嚥防止手術の適応と判断された症例の中で、 ADLがある程度保たれており、発声機能の維持を希望されたものに対しては、喉頭気管分離手術および気管食道吻合術( tracheoesophageal diversion : TED)に加えて、一期的もしくは二期的に気管食道シャント術( tracheoesphageal puncture : TEP)を加える術式( TED with TEP)を行い喉頭音声温存に成功している( Laryngoscope, 2018)。本術式では、無喉頭者に対するシャント発声ではなく、患者固有の声帯を音源とする点で格段に音声機能に優れている。また、他の誤嚥防止手術同様、嚥下反射がある程度残っている症例においては嚥下機能の改善度も大きく、本術式をとることで QOLの著しい向上が期待できる。2014年の当センター開設以来、本術式を施行した11例につき、音声および嚥下両面での客観評価と本人満足度について検討を行った。その結果、本術式は完全な誤嚥防止でありながら本人の喉頭音声を温存できる画期的な術式であることが確認された。
2019/05/11 13:50〜14:50 第10会場