第120回 日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会

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【背景】内視鏡下輪状咽頭筋切断術( ECPM)は低侵襲な術式として国内で普及過程にあるが、手技を習得するまでの時期には術中出血に難渋することになる。これまで ECPMの術中出血の原因を明確に説明した報告はない。【目的】 ECPMの術中出血に関する解剖学的知見を得る。【対象と方法】59歳男性の咽喉食摘標本を用いた。咽頭内腔から頸部食道まで食道入口部を跨ぎバルーンで拡張させホルムアルデヒド液で固定した。硬性内視鏡と鉗子類を用いて、 ECPMの術野で手術をシミュレーションし易出血部位を同定した。【結果】咽頭から食道までの全周性の粘膜剥離を行い輪状咽頭筋へアプローチすると、同筋斜部の筋線維が正中で交叉する部分に一致して粘膜下組織が厚くなっており、太い静脈叢が同筋内へ流入していた。【まとめ】現行の ECPM手技ではこの静脈叢を避けて輪状咽頭の筋腹正中部を明視下に置くことができないため、出血を避ける、あるいは出血した際に止血操作での工夫が必要になる。

2019/05/11 13:50〜14:50 第10会場