誤嚥防止手術は咽喉頭と下気道を外科的に分離し誤嚥を防止する手術の総称で、多くの術式がある。誤嚥防止手術に求められる要件としては1)手技が容易かつ確実で低侵襲、2)安定した気管孔(気管カニューレ不要)、3)術後嚥下機能の改善、4)音声再獲得の可能性、等が挙げられる。喉頭中央部切除術は声門を含む喉頭中央部を摘出し、声門上で気道を閉鎖する術式である。輪状軟骨は全摘出され低い嚥下圧でも嚥下可能となるが、気管孔は喉頭全摘と同様で2割程度で狭窄を生じていた。
私たちは輪状軟骨後板を温存した喉頭中央部切除術の変法を開発した。本術式は輪状軟骨後板を温存し気管孔の上・後・側壁として利用することで強固な気管孔を形成する一方、輪状咽頭筋は切除し、輪状軟骨後板は前頸部皮膚を用いてオトガイ方向に牽引挙上することによって広い下咽頭と緩い頸部食道が形成されるため、嚥下機能の改善も期待できる術式である。私たちは2017年より15症例に本術式を実施してきた。1年以上経過した7症例について気管孔の状態や経口摂取状況など長期予後を報告する。
2019/05/11 13:50〜14:50 第10会場