頸部神経鞘腫の取り扱いに関しては、一定の見解がなくさまざまな意見が存在しているのが現状である。手術を選択した場合でも術式にはさまざまな意見があるのと同時に、症例数が少なく多くの手術経験ができないことからその術式が適切に行われていない場合もある。その術式の中で神経機能温存目的に被膜間摘出術が行われているが、腫瘍と由来神経が連続していたため神経を切断して摘出したという報告は多い。今回われわれは、適切な被膜間摘出術を行うためにその構造を理解し、由来神経を切断しないと摘出できないと誤認する所見を解明する目的で簡易模型を作成した。結果としてこの簡易模型を用いることで神経上膜内には結合組織があり、誤った層で剥離を進めると由来神経線維以外の神経線維と腫瘍が連続しているように観察され切断しないと摘出できないと錯覚することを再現できた。簡易模型の構造を理解することで、真の腫瘍被膜を確認し適切な剥離面で摘出することの理解も深まり、術後の神経脱落症状を減少させることができると考えられた。
2019/05/11 13:50〜14:50 第9会場