頸部リンパ節腫脹は日常診療において遭遇する機会の多い症状の1つである。多くが炎症性疾患であるが、悪性リンパ腫や悪性腫瘍のリンパ節転移などの悪性疾患も存在し、診断のために手術を行うべきか、経過観察すべきか迷う症例にしばしば遭遇する。そこで術前に悪性リンパ腫を疑う指標を見出すことを目的に、函館五稜郭病院耳鼻咽喉科にて2007年1月1日から2017年12月31日に悪性リンパ腫の診断もしくは除外のために頸部リンパ節生検術を施行した85例を対象に最終診断と悪性リンパ腫の予後因子項目(年齢・ LDH値・血清アルブミン値・白血球数・リンパ球分画・リンパ節長径)、可溶性 IL-2R( sIL-2R)値を比較した。悪性リンパ腫は年齢・ LDH・ sIL-2Rが有意に高く、さらに悪性度の高いリンパ腫ではリンパ球が低下する傾向を認めた。以上より悪性リンパ腫を疑う指標として年齢・ LDH・リンパ球低下・ sIL-2Rが有用であり、臨床経過、身体所見、画像所見と合わせて総合的に判断することにより、時期を逸することなく頸部リンパ節生検を行うことができると考えられる。
2019/05/11 9:15〜10:15 第9会場