第120回 日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会

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今回われわれは頭頸部扁平上皮癌( HNSCC)における HDAC阻害剤の抗腫瘍効果の作用機序解明のために、癌の浸潤に密接に関与がみられる p63依存性タイト結合分子 Junctional Adhesion Molecule-A( JAM-A)、 claudin-1および細胞周期の変化に焦点を当て検討した。
HNSCC組織の免疫染色では異型上皮に比して p63、 HDAC1、 JAM-A、 claudin-1の高発現を認めた。 HNSCC細胞株 Detroit562に汎 HDAC阻害剤トリコスタチンA( TSA)、 HDAC1阻害剤および HDAC6阻害剤の処置により p63、 JAM-A、 claudin-1の発現減少、癌細胞の浸潤および遊走の抑制がみられた。 TSA処置により p21依存性の G2/M期停止による癌細胞増殖の抑制がみられた。さらに、 p63の siRNAおよび EGFR阻害剤処置により G1期停止による癌細胞増殖の抑制もみられた。初代培養 HNSCC細胞においても、 HDAC阻害剤は Detroti562と同様に、癌細胞の浸潤と遊走を抑制した。
以上のことより HDAC阻害剤は、 p63を介した JAM-Aと claudin-1の発現低下、 p63または p21を介した細胞周期停止により HNSCCの増殖、浸潤と遊走を抑制すると考えられた。

2019/05/11 13:50〜14:50 第8会場