涙道閉塞の原因は不明であることが多いが、まれに原因が特定可能な症例もある。今回、当施設で涙道閉塞の原因が特定可能であった症例のうち、点眼薬・抗癌剤による涙道閉塞について検討したので文献的考察も含めて報告する。点眼薬での涙道閉塞の原因は、レバミピド点眼薬の成分が涙のう内で結晶化し、結石となることによる。レバミピド点眼薬はドライアイ治療薬であり、閉塞機序はレバミピド成分結石が涙のう内に生じ、鼻涙管を閉塞させることによる。治療法は涙のう鼻腔吻合術( DCR)で結石を摘出することである。抗癌剤による涙道閉塞の原因の多くは、 S-1による涙点・涙小管炎であるが、ドセタキセルなどのタキサン系製剤が原因となることもあると言われている。閉塞機序は涙小管の狭窄や閉塞を来すことによる。治療法は、閉塞早期までならば、眼科での通水処置や涙道内視鏡下での涙道チューブ挿入で改善することが多いが、上記で改善できない症例は、結膜涙のう吻合術などの特殊な外科的治療が必要となるため、早期発見が極めて重要である。
2019/05/11 13:50〜14:50 第7会場