第120回 日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会

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慢性涙嚢炎の中には、 Check valve型とよばれる病態がある。鼻涙管閉塞による急性涙嚢炎を反復した結果、涙嚢が腫大して下方から総涙小管を圧排し、総涙小管が屈曲・閉塞した状態をいう。総涙小管から涙嚢への流入路は存在するが、流出路が消失するため、 one-way valve所見を示す。涙点・涙小管との交通は遮断されるため、涙嚢を圧迫しても涙点からの排膿は認められない。また、通水検査や涙道内視鏡検査は涙嚢内圧がさらに高まるため禁忌とされている。そのため、涙嚢内の情報がない状態で DCR適応となる場合が多く、中には鼻・副鼻腔腫瘍や原発性涙道腫瘍の例も存在する。2012年4月から2018年11月までに慢性涙嚢炎として DCR目的に当科紹介となった829例1,002側における症例数を調査するとともに、手術症例を動画にて供覧する。 Check valve型涙嚢炎と診断されたのは114例(13.8%)であった。悪性疾患は8例あり、このうち Check valve型は6例(75%)と多数であった。悪性疾患は Check valve型を示すことが多く、耳鼻咽喉科として認識しておく必要があると考えられた。

2019/05/11 13:50〜14:50 第7会場