昨年の総会において、鼻腔が狭い例に対する鼻閉の改善を目的とした手術―鼻腔拡大術Extended lateralization of the nasal wall―を報告した。この手術は、従来の下鼻甲介の volume縮小により通気性の改善を図る手術と異なり、下鼻甲介は原則として保存し、鼻腔自体を拡大して通気性の改善を図る手術である。具体的には、粘膜下に prelacrimal recessからアプローチし、下鼻甲介が付着している上顎洞内側壁を周囲の骨組織と分離し、下鼻甲介と下鼻道側壁の骨を鼻腔および上顎洞粘膜と共に一体として外側に移動する。今回は、われわれがこれまで最重症例に対して用いてきた鼻閉手術(下鼻甲介粘膜下組織減量、下鼻甲介骨折移動、後鼻神経切断術、必要な例には鼻中隔弯曲矯正術の組み合わせ)との比較を通して、これまでの手術で改善が不十分であった例に対して本手術を施行し、その効果を検討した。
2019/05/11 9:15〜10:15 第7会場