鼻中隔穿孔は手術や外傷、全身疾患など多岐にわたる原因により生じ、無症候性の場合も多く存在するが、穿孔部の痂皮形成や出血、呼吸時の笛様音、鼻閉、不快感の原因となり、患者の QOLの低下を招く症例も少なくない。これらの症状改善を目指し、まず鼻処置、ネブライザー療法など保存的治療が行われるが、それでも症状が改善しない場合穿孔閉鎖術が必要となる。今回われわれは鼻中隔穿孔閉鎖術を行った2症例を経験した。ともに鼻中隔矯正術後の鼻中隔穿孔であり、1例は当院で行った経鼻中隔アプローチによる下垂体腫瘍摘出術後に生じた鼻中隔前方の小穿孔症例であり、主訴は痂皮形成による不快感、鼻閉感であった。もう1例は50年前に他院で施行された鼻中隔矯正術後に生じた鼻中隔前方のやや大きい穿孔症例であり、主訴は頻回の鼻出血であった。両症例に対して、経鼻内視鏡手術を施行し、側頭筋膜および鼻内粘膜弁を用いて穿孔閉鎖が可能であった。2症例の手術方法につき若干の文献的考察を加え報告する。
2019/05/11 9:15〜10:15 第7会場