嗅覚同定能力研究用カードキット・オープンエッセンスは、嗅覚障害診療において、診断・経過観察のためのツールとして多くの施設で汎用されている。また嗅覚低下が認知症の症状として神経内科領域でも注目される中、オープンエッセンスと全く同じ嗅素を含む、においスティックが利用されている。12嗅素の中には同定の難易度に差があり、また認知症の心理検査との組み合わせを考慮すると、12嗅素でも総スコアとの相関が弱い嗅素を除くことが望ましいと考えた。これまでの結果から有意に若年者に比べて、総スコアの低下を認める、男性65歳以上66名、および女性70歳以上94名のボランティアから得られたデータを用いてピアソンの積率相関係数を求めた。各嗅素はいずれも相関が高く、さらに回帰係数 R2の高い順に、A :墨汁、F :カレー、D :メントール、L :炒めたニンニク、J :蒸れた靴下、K :練乳、I :ひのき、C :香水であった。これらを組み合わせるとさらに R2は高くなり、これらによる総スコアの再現性を示唆した。
2019/05/11 9:45〜10:15 第6会場