第120回 日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会

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タイトル

今回われわれは顎下腺術後に生じた Frey症候群の1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。症例 :60歳、男性。28年前に他院で右顎下腺摘出術(多形腺腫)を施行していた。局所再発に対して、8年前に当科で右顎下部郭清を施行した。2年前より、食事の際に右顎下部皮膚の湿潤を自覚するようになったため、当科を受診した。受診時、顎下部の皮膚に湿潤や感染兆候は認めなかった。超音波検査および MRIを施行したが、右顎下部に再発やその他の異常所見は認めなかった。ヨードでんぷん反応試験を利用して、ガムを咀嚼したところ、右下顎骨下縁の皮膚表面に青紫色の変色を認めた。以上より Frey症候群と診断した。症状は日常生活に大きく支障を与えるものではなかったため、積極的な治療は希望されず、経過観察となった。 Frey症候群は耳下腺だけでなく、顎下部の手術操作後にも生じ得ることを念頭に置く必要があると考えた。また、頸部郭清を含む顎下部の術後には、 Frey症候群の有無について詳細な問診・観察が必要と思われた。

2019/05/11 13:50〜14:50 第5会場