腺様嚢胞癌は唾液腺癌の中では比較的頻度が高い組織型である。10年生存率は50%程度であるが、約50%の症例で遠隔転移を来す。切除不能局所進行唾液腺癌、あるいは再発転移唾液腺癌に対しては、放射線治療の他に化学療法が試みられている。現状では CAP療法が行われることが多いが、これはさまざまな病理組織型を含む22例の進行唾液腺癌を対象とした臨床第Ⅱ相試験によるもので、奏効割合は27%に過ぎない。唾液腺腺様嚢胞癌においては血管内皮細胞成長因子( VEGF)や c-kitが高発現していることが知られている。レンバチニブは VEGFR 1-3、線維芽細胞増殖因子受容体( FGFR) 1-4、血小板由来増殖因子受容体( PDGFR) α、 RET、 c-kitを阻害するマルチキナーゼ阻害薬である。類似薬のスニチニブによって良好な病勢安定が認められたことからレンバチニブの効果が期待できる。われわれは2016年1月より第Ⅰ相試験として研究への同意を得られた切除不能唾液腺腺様嚢胞癌患者に対してレンバチニブを使用している。今回、2019年4月までに試験期間が終了する4症例の報告を行う。
2019/05/11 13:50〜14:50 第5会場