第120回 日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会

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【背景】昨今、唾液腺腫瘍の発症にヒトパピローマウイルス( HPV)感染が関連しているとの報告がある。しかし、唾液腺腫瘍には多様な病理型が存在し発症部位によってもその病因が異なる可能性がある。【対象と方法】2011年4月から2016年3月に当科において顎下腺摘出術を施行した31症例に対して、ホルマリン固定切片より DNAを抽出し、 HPV DNAに対する PCR、シーケンシング、 droplet digital PCR( ddPCR)を施行した。また、 p16免疫染色も施行した。【結果】疾患内訳は非腫瘍性病変9例、良性腫瘍16例、悪性腫瘍6例であった。 p16免疫染色の陽性率は悪性腫瘍において、良性腫瘍より有意に高かった(50.0% vs-6.3%)。単回の PCRでは HPV DNAは全症例で検出されなかったが、 nested PCRを行うことで96.8%が陽性となった。それゆえ ddPCRにて DNA量を定量したが、1細胞当たり0.007コピーと HPV関連中咽頭癌と比べると有意に低かった。【考察】今回顎下腺検体から検出された DNA量からは HPVが腫瘍発症に関与している可能性は低いと考えられた。

2019/05/11 9:15〜10:15 第5会場