前庭神経炎診断基準(2017年)によると、「確実例」には温度刺激検査による半規管機能低下の確認が必要である。一方、同様の症状・眼振所見であっても、主な病態が下前庭神経障害や前庭障害と推察される検査データを示す症例は、「疑い例」となる。 o-VEMP、 c-VEMPあるいは vHIT等により前庭機能障害の責任病巣、つまり上・下前庭神経障害、内耳障害などの部位診断が可能になってきている。今回、前庭神経炎とその周辺疾患について検討した。対象は診察時に定方向性の頭位眼振がみられた41名。発作が複数回の症例、中枢疾患や先天性疾患を疑う症例は除外した。前庭神経炎確実例( cVN : certain vestibular neuritis)16例、前庭神経炎疑い例( pVN : probable VN)19例、内耳障害( IED : inner ear disorder、蝸牛症状あり)5例、 Hunt症候群( HUNT)1例であった。頭位眼振消失までの平均日数は cVN :126.6日、 pVN :20.2日、 IED :28.8日、 HUNT :180日であった。半規管麻痺があると、頭位眼振やふらつきが遷延しやすいと考えられた。
2019/05/11 13:50〜14:50 第4会場