背景 :鼻ポリープでは、コラーゲンの発現が低下し、鼻粘膜のコンプライアンス(伸びやすさ)が亢進していることが報告されている。コラーゲンの産生は線維芽細胞における TGF-βシグナルに制御されているが、このシグナルは亜鉛依存性であり、コラーゲン産生には適切な組織内亜鉛が欠かせない。
一方、近年、鼻ポリープにおける低亜鉛が報告されたが、病態への関与は不明である。今回われわれは、鼻粘膜におけるコラーゲン産生への低亜鉛の影響を検討した。
方法 :低亜鉛培地で線維芽細胞を培養し、コラーゲンの発現を qPCR法と ELISAで評価した。鼻粘膜の TMAを用い、 Zinquin法と Sirius red染色で、亜鉛の蛍光強度とコラーゲンの発現を評価した。
結果 :低亜鉛環境で培養した線維芽細胞では、コラーゲンの発現が低下していた。鼻ポリープでは亜鉛とコラーゲン発現が低下していること、コラーゲン発現と亜鉛の間には正の相関があることが判明した。
結語 :鼻粘膜内の低亜鉛はコラーゲンの産生を介し、鼻粘膜のコンプライアンスを亢進させ、鼻ポリープ形成に関与している可能性がある。
2019/05/11 13:50〜14:50 第3会場