好酸球性副鼻腔炎は難治再発性鼻茸を最大の特徴とし、気管支喘息を高率に合併する慢性副鼻腔炎である。その本態は鼻副鼻腔粘膜における Th2炎症を主体としたアレルギー炎症による好酸球の増加であると考えられているが、難治再発性鼻茸の形成メカニズムはまだ詳細には解明されていない。鼻茸難治化のメカニズムを解明し、病態を反映するバイオマーカーを確立し、適切な治療介入を行うことが今後の最大の課題と考えられる。気管支喘息では、呼気中一酸化窒素( FeNO)が重要なバイオマーカーとして測定意義が確立されている。一方、同じ気道炎症である慢性副鼻腔炎においては、鼻腔 NO測定に関して一定の見解が得られていない。今回われわれは、当科で手術を行った慢性副鼻腔炎患者における術前鼻腔 NO値を検討した結果、好酸球性副鼻腔炎患者では非好酸球性副鼻腔炎患者や健常者と比較して有意に鼻腔 NO値が低いことを見出した。さらに、術後状態と鼻腔 NO値の変動を追跡し、鼻腔 NOが好酸球性副鼻腔炎のバイオマーカーとなり得る可能性について検討したので報告する。
2019/05/11 9:15〜10:15 第3会場