耳閉感、自声強聴、呼吸音聴取などの耳管開放症3主徴は耳鼻咽喉科一般診療の中でよく遭遇する自覚症状であり、多岐にわたる疾患の鑑別を要する。今回は耳管開放症を主に診療している当外来を受診した症例につき後ろ向きに検討を行ったので報告する。なお、診断は日本耳科学会耳管委員会でまとめられている「耳管開放症診断基準案2016」に準じて行った。平成28年6月から平成30年11月の間に当科耳管外来を515名受診した。その中で耳管開放症確実例268名について検討した。有症状率は自声強聴が約9割、呼吸音聴取・耳閉感が約7割であった。耳管開放症は年齢分布が二峰性であり、若年群(20〜49歳)は高齢群に比べ日常生活支障度スコアが有意に高かった。3主徴のうち、耳閉感のみを自覚するのは5例(3.3%)であった。この5例は全員が高齢であり、耳鳴症や突発性難聴の既往があり、耳管開放症確実例ではあるが他疾患による耳閉感が混在している可能性も否定できない。
2019/05/11 10:20〜14:50 第2会場