【目的】外耳道閉鎖症は難聴を来す疾患である。主に手術が行われるが、術後の再閉鎖が頻発で、いまだ確立された手術法はない。今回、家兎外耳道皮膚剥離モデルに対する自己由来口腔粘膜上皮細胞シート移植による治療効果に関して検討した。【方法】家兎頬粘膜を採取し温度応答性インサートに播種した。培養開始1週間後、同一家兎の両側外耳道皮膚を内視鏡下で剥離、除去した。片側には自己由来細胞シート、または PGAシートを剥離部に置いた。対側は皮膚剥離、除去のみを行いコントロール群とした。処置後1、2、4週の外耳道を内視鏡で観察し、鼓膜を観察できない場合を外耳道閉鎖とした。処置後4週で外耳道を組織学的評価をした。【結果】コントロール群、 PGA群ではほぼ全例で肉芽による外耳道完全閉鎖を認めた、移植群では全5例では閉鎖が認められなかった。【考察】外耳道皮膚剥離直後の細胞シート移植は外耳道上皮、膠原繊維の増殖を抑え、創傷治癒を劇的に促す可能性が示唆された。今後、臨床応用に向けて、外耳道閉鎖モデルに対する移植実験を実施予定である。
2019/05/10 11:40〜12:20 第10会場