【はじめに】肺炎球菌蛋白結合型莢膜多糖体ワクチンが導入され、ワクチン型株が減少する一方で、非ワクチン株による感染症の増加が警鐘されている。中でも無莢膜型株( NESp : nonencapsulated Streptococcus pneumoniae)は、その病原性が十分に解明されていない。われわれは仔マウスを用い NESpの鼻腔への定着能力について検討した。【方法】 C57BL/6J仔マウスを用い、日齢4、日齢7、日齢14に肺炎球菌野生型(血清型 6A)または NESp株を経鼻接種し、8日後の鼻腔洗浄液、鼻粘膜組織を採取し、鼻腔保菌量、鼻粘膜組織内菌量を測定した。【結果】野生型では感染時の日齢にかかわらず鼻腔への定着が確認された。一方で、日齢7および日齢14で感染させた仔マウスでは NESpの定着は著明に抑制されていたが、日齢4で感染させた群では十分な NESpの鼻腔定着が確認された。【考察】生後早期の免疫学的未成熟な時期には NESpが鼻腔内に十分定着することが確認された。 NESpは莢膜型株に比較して病原性が低いことが考えられる反面、免疫学的未成熟な低年齢での感染伝播が懸念される。
2019/05/10 11:40〜12:20 第10会場