【はじめに】中枢性顔面神経麻痺の典型症状は、顔面下部のみ症状を起こすが、橋に存在する顔面神経核が障害されると顔面上部にも麻痺症状を引き起こすことがある。
【症例】68歳男性。X -7日に右難聴、X -1日より回転性めまいを認めた。X日に右 88.8dBの感音難聴を認め、突発性難聴で入院となった。頭部 MRIで異常なし。
【経過】入院日よりプレドニン漸減療法を開始した。入院4日目に左頬部帯状疱疹を認め、バルトレックスを開始した。ステロイド投与後にもかかわらず11日目に右顔面神経麻痺を発症した。頭部 MRIを再検したところ、右橋梗塞を認めた。髄液検査で細胞数、蛋白、糖の軽度上昇を認め、 VZV-IgGも陽性であり、帯状疱疹ウイルス性髄膜炎が疑われた。アシクロビル静注を行い、神経内科でリハビリを行い、25日目に退院となった。
【考察】帯状疱疹の合併症として髄膜炎、 Hunt症候群、脳血管障害などが存在する。もし顔面神経麻痺が帯状疱疹と同側発症であった場合、 Hunt症候群として脳梗塞が見逃されていたかもしれない。
2019/05/10 10:20〜11:00 第10会場