第120回 日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会

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顔面神経鞘腫は通常緩徐な進行を示すまれな良性腫瘍であり、脳幹付近から側頭骨外まで顔面神経走行のどこにでも生じ得る。単施設報告として最大の80例に基づく海外からの報告では、うち57例で側頭骨内顔面神経に腫瘍が見られ、また側頭骨標本では無症状の顔面神経鞘腫が1%弱にみつかると報告されている。国内外を問わず1990年代までは腫瘍摘出が優先され、2000年代に入り原則として顔面神経機能温存が最優先され、一般的には経過観察症例や放射線照射例が増加している。当科では、1987年から2005年までの期間に治療を行った22症例の側頭骨内顔面神経鞘腫の経過を以前報告し(井上ら2007、原田ら1996)、その治療の内訳は経過観察8例、摘出術12例、顔面神経減圧術2例であった。2007年以降の12年間に新たに20症例の受診があり、8例に経過観察、9例に摘出術、3例に減圧術、をそれぞれ治療方針として選択した。1987年以降の計42例を対象に、診断に至る経緯、難聴・顔面神経麻痺の出現率、顔面神経麻痺に関連する予後因子、腫瘍の成長率などにつき報告する。

2019/05/10 9:30〜10:20 第10会場