頭頸部癌領域における再建手術にはさまざまな皮弁が用いられるが、その再建皮弁上から悪性腫瘍が発生する報告は多くない。今回、下咽頭癌に対して再建術後15年経過してから発症した皮弁発癌の症例を経験したため報告する。症例は81歳男性。15年前に左梨状陥凹癌(cT3N0M0)に対して下咽頭・喉頭全摘出+両側頸部郭清(レベルⅡ―Ⅳ)+遊離前外側大腿皮弁によるロール状再建術を施行。再発なく経過観察が行われていたが、内視鏡検査にて再建皮弁部に発赤・易出血部位が認められ、同部位からの生検の結果、扁平上皮癌を認めた。再建皮弁発癌に対して、再建皮弁除去+両側顎下部郭清+遊離空腸再建術を施行した。術後病理結果は、高分化型扁平上皮癌であった。術後、8カ月経過した現在、非担癌生存中である。皮弁発癌は、再建手術後10年以上経過してから発症する例もあり、十分な経過観察が必要である。当科でこれまでに経験した皮弁発癌症例について文献的考察を加えて報告する。
2019/05/10 9:20〜10:20 第9会場