【目的】頭蓋底浸潤頭頸部悪性腫瘍の治療戦略としては、開頭頭蓋底手術、内視鏡下頭蓋底手術、超選択的動注化学放射線治療、全身化学放射線治療などがあるが、術前の画像診断で骨破壊、脳内浸潤は評価可能なものの、硬膜浸潤を正確に評価しにくいことなどがあげられる。近年、 MRI特に拡散強調画像(DWI)、拡散係数(ADC)が、悪性腫瘍診断に有用であるといった報告がある。【方法】2012年9月から2018年11月に当院で施行した頭蓋底手術症例48例の内、 DWI、 ADCを撮影した29例を後方視的に検討し、手術所見、術後病理所見との比較を行った。【結果】 CTにおける骨破壊像は、24例に見られ、24例に硬膜造影所見を認め、24例中16例(66.7%)に硬膜浸潤を認めた。腫瘍浸潤があった群においては、なかった群と比較し、硬膜周囲の ADC値は有意に低値であった( p< 0.05)。【結論】頭蓋底浸潤頭頸部悪性腫瘍の治療前診断に、拡散強調画像(DWI)、拡散係数(ADC)は有用であると考えられた。
2019/05/10 9:20〜10:20 第8会場