第120回 日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会

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タイトル

HPV関連頭頸部癌は HPV16による中咽頭癌の頻度が高いが、今回 HPV33による同時性・多発性の鼻腔癌の症例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。症例は66歳男性。左鼻腔腫瘍にて近医より当科紹介。左鼻腔内に充満する乳頭状腫瘍、および右側鼻中隔に腫瘍浸潤を疑う粘膜不整を認めた。両者からの生検で共にSCCの診断となり、外側鼻切開による鼻腔悪性腫瘍摘出術を行った。術中に左中鼻甲介にも粘膜不整を認め合併切除した。術後病理では1.左鼻腔腫瘍(鼻中隔原発)2.右鼻中隔3.左中鼻甲介それぞれからSCCが検出され、p16陽性・p53陰性であった。1.と2.との間には連続性はなく、両側鼻腔内に同時性・多発性に発生した鼻腔癌と診断した。また1.の検体を用いてHPVタイピング解析を行ったところ、HPV33が検出された。いずれの病変も切除断端陰性の評価にて、術後治療は行わず経過観察の方針となった。現在術後6カ月が経過したが、再発なく外来にて経過観察中である。

2019/05/10 9:20〜10:20 第8会場