方向交代性向地性眼振のなかで眼振が持続性に生じ疲労現象がないものはいわゆるライトクプラと呼ばれ小児ではまれである。6歳児の症例を経験したので報告する。
症例:生後6歳10カ月7日女児
主訴:回転性めまい
現病歴1週間前に朝起きたらふらつきと嘔気があった。6日前、周囲がグルグルまわっている感じがして嘔吐したが翌日には普通に遊んでいた。受診前日にもめまいがすると母に訴えたため当科受診した。
初診時所見:聴力正常。持続性の方向交代制向地性眼振が認められ左に中立位があった。 MRIで中枢に異常を認めなかった。
経過:左のライトクプラと診断し経過観察した。2週後には眼振が消失し、以後、9カ月間めまいは起きていない。
考察:ライトクプラの原因は不明であるが、クプラに軽い物質が付着する、内リンパの比重が大きくなる、クプラ自体の比重が小さくなる、などの病態が提唱されている。頭位めまい症は小児ではまれで12歳以下は0.3%と報告されている。内外の文献を渉猟しえた範囲でライトクプラの発症時最年少は7歳だった。
2019/05/10 11:20〜12:20 第7会場