第120回 日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会

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【はじめに】ミトコンドリア難聴はmtDNAの変異により発症する難聴である。今回、m.1555A> G変異とm.3243A> G変異を共に認めたミトコンドリア難聴の1例を経験したので報告する。【症例】56歳女性。25歳頃から両側聴力低下が出現。56歳に右耳が聾となり、右人工内耳埋め込み術を受ける。当科にて難聴の原因精査のため遺伝学的検査を行ったところ、 m.1555A> G変異とm.3243A> G変異が共に認められた。遺伝カウンセリングの後、神経内科でさらに筋生検を受け、MELASと診断された。【考察】ミトコンドリア難聴の遺伝学的検査では複数のSNPが難聴の原因として指摘されている。しかしながら複数の pathogenicな SNPが同一患者から同定されたことはほとんどない。本症例ではm.3243A> G変異がMELAS発症の原因として想定されるが、難聴の発症においてはm.1555A> G変異とm.3243A> G変異が共に認められたことから、これらの2つのpathogenicな変異が相加的に影響を及ぼして難聴を発症させた可能性も否定できないと考えられた。

2019/05/10 11:20〜12:20 第7会場