背景:近年、感音難聴の治療法として再生医療が注目を集め、基礎研究レベルでさまざまな新規治療法が提案されている。しかし、齧歯類を用いた研究の成果をヒト臨床に応用する際には、種差が障害となることが少なくない。われわれは、こうした問題に対し、基礎研究成果からヒト臨床応用へのフローを加速させるツールとして、小型霊長類コモンマーモセットを用いた内耳研究の基盤構築を行ってきた。今回、コモンマーモセット内耳への薬剤投与法確立を目的として、側頭骨解剖を解析したので報告する。目的:手術的アプローチによる内耳薬剤投与実験系を確立するため、コモンマーモセット側頭骨の解剖学的特徴を明らかにする。研究方法:新生児〜13歳齢のコモンマーモセット固定サンプル(n= 7)を用いて、側頭骨の剖検を行った。研究結果:コモンマーモセットはヒトと良く似た中耳構造を有していた。相違点としては乳突腔の蜂巣構造が未発達で単洞に近い構造であることが挙げられた。また、正円窓への薬剤投与を行う際には後鼓室開放が適していると考えられた。
2019/05/10 10:20〜11:20 第6会場