第120回 日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会

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目的:中耳炎は反復することで鼓膜穿孔や耳小骨病変が生じて伝音難聴になることが知られている。ところが、耳小骨病変の機序に関する報告は少なく、いまだ解明されたとはいえない。その解明は予防や治療に結びつくと考える。仮説としてはサイトカインに誘導されて破骨細胞が増加することにより耳小骨が溶解し、その後固着するものと考えている。本研究ではその仮説を検証することを目的とした。
方法 :リポポリサッカライド(LPS)をマウス右耳に、対照耳として生理食塩水を左耳に投与し、両側の耳小骨において破骨細胞のマーカーである酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼを染色することで破骨細胞の誘導量を比較した。
結果 :対照耳と比較して LPS投与耳の耳小骨では破骨細胞数が有意に増加していた( p< 0.05)。
考察・結論 :本実験では、LPS投与した中耳モデルにより、破骨細胞が耳小骨病変に関与していることを示した。骨粗鬆症薬など破骨細胞を減少させる治療薬が開発されており、今回の知見から中耳炎に伴う耳小骨病変と難聴に対する治療が期待できると考えている。

2019/05/10 10:20〜11:20 第6会場