難聴遺伝子検査が保険収載となり多くの確定診断が可能になったが、一方で、本方法で確定診断がつかなかった症例に追加検査を行うことで原因が判明する場合も多い。また、遺伝子解析技術の加速度的な発展により多数の新規変異や新規候補遺伝子が報告されており、実際、当院でも2016年度から2018年度までに行われた成人症例に対する遺伝子検査で、保険外検査により新規変異の可能性を指摘された症例数は、保険検査で確定診断がついた症例数の3倍以上にも上っている。多数の変異候補の解釈には専門的な過程を経た慎重な遺伝学的診断が要求されるが、遺伝学的アプローチのみでは確定できないケースも多々ある。本発表では当院の難聴遺伝外来における難聴遺伝子検査の現況とともに、遺伝子解析技術の進化に合わせて増加する遺伝子検査結果に対する当院のこころみを報告する。遺伝学と細胞生物学を結ぶ効率のよく科学的合理性の高い研究手法の確立が、診断・治療の両面から求められていると私たちは考えている。
2019/05/10 9:20〜10:20 第6会場