突発性難聴に対しては各施設でステロイドを中心としたさまざまな治療法が行われているが、統一した治療法は確立されていない。鼓室内ステロイド療法( ITS)は、少ない投与量で内耳へ高濃度の薬剤移行が可能であり、副作用も少なく、突発性難聴に有効であると報告されている。われわれは grade 2以上の突発性難聴に対して、全身ステロイド療法を行った群(非 ITS群)と全身ステロイド療法に加えて鼓室内ステロイド療法を行った群( ITS群)の治療効果について比較検討した。対象は、2013年2月から2017年12月までに2施設で入院加療した grade 2以上の突発性難聴症例で、治療後の経過観察期間が4週間以上追跡できたものとした。内訳は男性115例、女性120例であった。ただし、発症から治療開始まで4週間以上経過した症例やメニエール病と考えられる疾患は除外した。聴力の評価には、5周波数平均純音聴力レベルを用いた。結果は、非 ITS群と ITS群を比較して、 ITSの有効性が示された。これらについて考察する。
2019/05/10 9:20〜10:20 第5会場