第120回 日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会

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タイトル

対象先天性の高度感音難聴に対し、20歳以降に人工内耳手術を施行し、術後1年以上経過している15症例を対象とした。方法術前の裸耳/補聴器装用下の平均聴力と語音明瞭度、構音、術後の人工内耳装用閾値、語音明瞭度、単語/文了解度、構音について比較した。また、療育機関、術前のコミュニケーションモード、主観的評価等も検討した。結果いずれの症例でも人工内耳装用閾値は良好であった。術後の聴取能は補聴器装用下の聴取能を上回る例が多かったが、中でも、補聴器装用閾値が良好で構音明瞭度が良好な症例で術後の聴取能が良好であった。一方、構音検査では術後に改善傾向が見られるものの、明瞭度は変わらなかった。考察聴覚条件のみの聴取能検査では術前後で結果が変わらない症例もあったが、視覚条件併用での聴取能や主観的評価では術後半年程度から経時的な改善がみられ、人工内耳の有用性がみられた。同時に、術後の変化を鋭敏に捉えるためには、より日常生活に則した聴覚視覚条件での聴取能検査や QOLの主観的評価の重要性が示唆された。

2019/05/10 9:20〜10:30 第4会場