Pott’s puffy tumor(PPT)とは、前頭洞炎から前頭骨に炎症が波及したことによる前頭骨骨髄炎に加え、骨膜下膿瘍による前額部腫脹を来す疾患である。本疾患は炎症が硬膜外や頭蓋にまで波及することもあり、適切な術式選択を含めた治療戦略が重要となる。今回われわれは PPTを成人発症した2例を経験した。症例1は慢性関節リウマチに対してステロイド投与中の58歳男性。内視鏡下前頭洞単洞化手術(Endoscopic Modified Lothrop Procedure : EMLP)を施行するも症状改善しないため、脳神経外科と形成外科3科合同にて前頭開頭術による前頭骨の腐骨除去を行い、大腿筋皮弁と鼻内遊離粘膜弁にて頭蓋底再建術を施行した。症例2は71歳女性で、副鼻腔炎の既往がなく、前額部の腫脹を主訴に来院した。 EMLPのみでは症状改善なく再手術になる可能性を考え、一期的に3科合同にて同様の手術を実施した。2例とも現在、再感染なく術後経過良好である。本疾患の遊離皮弁を用いた頭蓋底再建術での切除ラインの決定方法、頭蓋底および鼻内再建方法について文献的考察を加えて報告する。
2019/05/10 11:20〜12:20 第3会場